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機械式駐車場の入出庫時間|設計段階で考慮すべきポイント

機械式駐車場の入出庫時間|設計段階で考慮すべきポイント

機械式駐車場を計画する際、収容台数だけでなく、入出庫にかかる時間やピーク時の待ち時間も重要な検討項目です。待ち時間は設備の構造や利用状況によって変わるため、企画・設計段階からあらかじめ想定しておく必要があります。
この記事では、機械式駐車場で待ち時間が発生する原因や、待ち時間を抑えるための設計のポイント、スムーズな入出庫を実現する技術について解説します。あわせて、計画段階で具体的に待ち時間を検証できる「出庫時間シミュレーション」についてもご紹介いたします。

機械式駐車場で待ち時間を軽視できない理由

機械式駐車場では、構造上、入出庫に一定の時間がかかります。待ち時間は利用者の利便性に直結するだけでなく、駐車場全体の運用効率にも影響するため、企画・設計段階から想定される利用状況を踏まえて、対策を検討することが重要です。

回転率が低下し機会損失が起こる

機械式駐車場は、1台ごとに車を搬送する仕組みのため、前の車の出庫が終わるまで後続車は待つ必要があります。利用が集中する時間帯は待ち時間が増えやすく、駐車場全体の回転率も低下します。
商業施設であれば、回転率が下がると、満車ではないにもかかわらず入庫待ちの列ができ、利用者が他の駐車場へ向かってしまう可能性があります。このような機会損失を防ぐためにも、設計段階で利用状況に応じた駐車場計画を検討することが重要です。

利用者満足度の低下につながる

車をすぐに出せない状況が続くと、待ち時間そのものがストレスとなり、利用者の満足度に影響することがあります。特に利用が集中する時間帯では、待ち時間が駐車場の使いやすさを左右する要因の一つになります。
ただし、待ち時間が発生すること自体は、機械式駐車場の構造上避けられない特性です。重要なのは、待ち時間が発生することを前提としたうえで、設計段階でどこまで対策を講じるかという点です。

機械式駐車場で待ち時間が発生する原因

機械式駐車場の待ち時間は、機械の動作速度だけで決まるものではありません。設備の構造や利用状況、車両の格納位置など、さまざまな要因が重なって発生します。待ち時間を設計段階で正しく見込むためには、原因をあらかじめ把握しておくことが重要です。

入出庫に一定の操作時間がかかるため

機械式駐車場では、車両を入出庫するたびに、昇降や横行など複数の機械動作が必要になります。目的の車両が格納されている位置までパレットを移動させ、車両を乗込み階まで搬送する工程を順番に行うため、1台あたり一定の時間がかかります。
また、安全性を確保するための制御や確認も必要であるため、一連の動作を省略することはできません。
実際の入出庫動作については、以下のCGムービーでご確認いただけます。

エレベータパーキング
スーパースクエアパーキング

朝夕のピーク時間に利用が集中するため

機械式駐車場では、利用者が集中する時間帯に、待ち時間が発生しやすくなります。たとえばマンションでは通勤時や帰宅時、オフィスビルでは始業前や終業後など、朝夕に利用が集中する傾向があります。また、駅周辺や複合施設などでは、施設の用途や立地に応じてピーク時間が異なる場合があります。
こうしたピーク時には順番待ちが発生しやすいため、設計段階で利用状況を想定した駐車計画を行うことが重要です。

駐車パレットの動作が連動しているため

機械式駐車場の方式によっては、1台の車両を取り出すために周囲のパレットを移動させる必要があります。たとえばエレベータ式や地下水平循環方式では、目的の車両を搬送するために複数のパレットが連動して動作します。
そのため、1台の入出庫が完了するまで次の車両を搬送できず、利用が集中する時間帯には待ち時間が発生しやすくなります。

位置によって取り出し時間が変わるため

機械式駐車場では、車両の格納位置によって取り出しにかかる時間が異なります。出入り口から遠い位置や、上層階に格納された車両は、目的の位置まで搬送するための移動距離や工程が増えるため、取り出しに時間がかかる傾向があります。一方、乗込み階に近い位置の車両は比較的短時間で出庫できます。
このように格納位置による違いを理解しておくことも、駐車計画を検討するうえで重要です。

エレベータパーキング
スーパースクエアパーキング

機械式駐車場の待ち時間を抑えるための設計のポイント

機械式駐車場の待ち時間は、設計段階での工夫によって軽減できる場合があります。施設の用途や利用状況を踏まえて設備の構成や運用方法を検討することが、具体的な対策につながります。

基数を増やし並列処理を可能にする

機械式駐車場は、リフトや搬送装置が1基のみの場合、1台の入出庫が完了するまで次の車両は待機する必要があります。一方、複数基を設置すると入出庫を並列で処理できるため、複数台を同時に処理でき、待ち時間の短縮につながります。
また、出入口を複数設けて車両の流れを分散させることもポイントです。特定の場所に利用が集中することを防ぎ、混雑の偏りをなくせます。
設計段階では、設備の基数と動線をあわせて検討することが重要です。

稼働頻度の高い車両を格納しやすい位置に配置するルール設計

機械式駐車場では、格納位置によって取り出しにかかる時間が異なります。出入り口から遠い上層階や奥側に格納された車両ほど、パレットの移動距離や工程が増え、出庫までに時間がかかる傾向があります。
そのため、利用頻度の高い車両を、乗込み階に近い位置へ優先的に格納できるようなルール設計も重要です。設計段階から運用を見据えた配置を検討することで、待ち時間の短縮や利用者満足度の維持につながるでしょう。

機械式駐車場の待ち時間は計画段階のシミュレーションで検証できる

機械式駐車場の待ち時間は、実際に導入する前でも計画段階のシミュレーションで具体的に検証できます。IHIパーキングスクエアの「パーキングデザインラボ」ページでは、会員登録フォームより社名・お名前・メールアドレスを入力するだけで、誰でも簡単にシミュレーションをご利用いただけます。

エレベータパーキングでの出庫時間シミュレーション

エレベータ方式の機械式駐車場を対象に、収容条件を入力するだけで出庫時間をシミュレーションできます。機械式の種類や収容車種、車両サイズ別の収容台数を設定することで、実際の運用条件に近い形で出庫時間の目安を確認できます。

シミュレーション画面例

使い方

➀機械式の種類を選択

エレベータ自立式/ビル内エレベータのいずれかを選択します。

②収容車種を選択

標準/GR(超大型対応)のいずれかを選択します。

➂収容台数を入力

乗用車(1,550mm)・ハイルーフ車(2,050mm)・ミドルルーフ車(1,800mm)それぞれについて、地上の収容台数を入力します。

④計算を実行

すべての項目を入力したら「計算を開始する」ボタンをクリックすると、出庫時間のシミュレーション結果が表示されます。

例えば

「ビル内エレベータ」方式で、乗用車100台・ハイルーフ車20台・ミドルルーフ車10台を収容する条件で計算すると、標準仕様での「最大出庫時間」「平均出庫時間」に加え、オプションである中間待機システム※を導入した場合の「最大出庫時間(中間待機システム)」「平均出庫時間(中間待機システム)」もあわせて表示され、標準仕様との比較ができます。

※中間待機システム:駐車台数の多い物件(ご計画中の駐車場)向けには、リフト装置が装置本体の中間で待機する機能や、AIが日々の利用状況を学習することでスピーディな出庫を実現するシステムもご用意しています。詳細は「中間待機システムとAI活用」の資料をご参照ください。
この中間待機システムを導入することで、標準仕様と比べて出庫時間が短縮される結果を確認でき、特に駐車台数の多い物件ほどその効果を実感しやすい傾向にあります。

(注意点)
  • 算出結果は、人の出庫作業時間を含みません。また、乗込階に実車パレットが待機している状態からの出庫呼びにかかる時間です。
  • 算出時間は計算値のため実際とは異なる場合があります。また、保証値ではありません。
  • 算出結果はPDFでダウンロードすることも可能です。

地下水平循環方式(スーパースクエアパーキング)での出庫時間シミュレーション

さらに、地下水平循環方式の機械式駐車場「スーパースクエアパーキング」を対象に、収容レイアウトの条件を入力するだけで出庫時間をシミュレーションすることができます。躯体平面の形状は長方形に限らず様々な地下空間の形状に合わせたレイアウトでも可能です。

シミュレーション画面例

使い方

➀X方向のセル数を選択

駐車棚(パレット)を水平搬送させる装置である「セル」の数を、X方向に2〜8セルの範囲で選択します。

②Y方向のセル数を選択

同様に、Y方向のセル数を2〜8セルの範囲で選択します。

➂リフト位置を選択

入力したセル数に応じて表示されるX-Y方眼図の中から、リフトを設置する位置を選択します。

④収容型式を選択

格納する車両サイズに応じて、Nサイズ(例:レクサスIS300、アウディA5、ポルシェ718ボクスターなど)/Gサイズ(例:クラウン セダン、日産GT-R、ボルボv90など)/GLサイズ(例:センチュリー セダン、トヨタ ランドクルーザー、ポルシェ カイエン、メルセデス・ベンツG550など)から選択します。

➄階層を選択

地下空間の階層数を1層〜4層の中から選択します。

⑥収容車種を選択

各層ごとに、格納する車両の屋根高さ(ノーマルルーフ/ミドルハイルーフ/ハイルーフ)を選択します。

➆リフトの旋回角度を選択

リフトの旋回角度を0°(旋回なし)/90°/180°の中から選択します。

⑧計算を実行

すべての項目を入力したら「計算」ボタンをクリックすると、出庫時間のシミュレーション結果が表示されます。

例えば

地下水平循環方式の「スーパースクエアパーキング」で、X方向5セル・Y方向3セル、リフト位置を格子のほぼ中央に設定し、収容型式をGサイズ、階層を3階層、リフトの旋回角度を180°とした条件で計算すると、そのレイアウトにおける最大出庫時間の目安と、概算の収容台数が結果として表示されます。
この出庫時間は、平面図上でリフトから最も遠いセルを基準にした最大値として算出されるため、実際の駐車位置によってはこれより短くなるケースもあります。空きセルを増やすことで出庫時間を抑えられる可能性があるほか、駐車室内に設置される建物の柱・梁の位置によっても出庫時間が変わる場合があるため、詳細なレイアウトについては別途お問い合わせいただく形になります。

(注意点)
  • シミュレーション結果には、利用者の車の出庫運転時間やスーパースクエアパーキングの機械操作時間は含まれておらず、あくまで参考値となります。
  • 結果はPDF形式で保存することも可能です。

IHIパーキングスクエアの機械式駐車場がスムーズな入出庫を実現できる理由

機械式駐車場の待ち時間は、設備の構造や運用方法を工夫することで改善が期待できます。IHIパーキングスクエアでは、待ち時間の短縮を目的に、入出庫の効率化につながるさまざまな技術を採用しています。ここでは、スムーズな入出庫を実現する主な仕組みを紹介します。

中間待機システムによる動作工程の削減

エレベータパーキングの中間待機システムは、車両の入出庫が完了した後、空パレットを自動で格納し、リフトをそのまま中間階で待機させる仕組みです。
標準仕様では、車両の入出庫が完了した後、リフトに空パレットが乗った状態で待機します。次の入出庫を開始する際は、空パレットの移動・格納、呼び出された車両の搬送など、6つの動作を順番に行います。
一方、本システムでは、前回の入出庫時にあらかじめ空パレットの格納を済ませた状態でリフトが中間階に待機しているため、次回の入出庫では空パレットの移動・格納にあたる2つの動作を省略できます。これにより、入出庫にかかる動作を6動作から4動作に削減し、待ち時間の短縮につなげています。

[業界初のAI活用]混雑予測と出庫時の平準化

本システムは、利用者の入出庫データをAIが学習し、利用時間帯ごとの傾向から混雑が集中する時間帯を予測します。具体的には、①入出庫データを蓄積し、②利用時間帯・利用率に応じて車両を順位付け、③利用頻度の高い車両を出庫ピーク時間帯に合わせて乗込み階に近い優先棚へ格納する、という3ステップでリフトの移動距離を短縮する仕組みです。実際に導入した複数のマンション物件でも、出庫ピーク時間帯の稼働時間が14.0〜25.9%削減された事例があり、実運用データで効果が実証されています。
※下図「導入事例1」を参照ください。

[業界初のAI活用]車路管制システムによる複数タワー間の入庫誘導

複数のタワーパーキングを備えた施設では、車路管制システムが各タワーの出庫状況をリアルタイムで把握し、混雑の少ないタワーへ入庫車両を自動で誘導します。
たとえば、あるタワーで出庫が集中している時間帯には、出庫に余裕のある別のタワーへ一部の車両を振り分けることで、特定のタワーへの混雑集中を抑えます。各タワーの負荷を平準化することで、施設全体の待ち時間短縮につながる仕組みです。
※下図の「導入事例2」を参照ください。

中間待機システム+AI活用導入時の待ち時間短縮事例

中間待機システムとAI活用を併用した場合、実測データでも待ち時間の短縮効果が確認されています。ビル内自立型エレベーターパーキング(74台)の実測では、出庫時間が最大約4分から約1分55秒、平均約3分20秒から約1分45秒へ短縮されました。
また、類似物件で実施した30分間のピーク時検証では、5台連続入庫で約3分20秒の短縮、7台連続出庫で約4分40秒の短縮が確認されました。

このように、実測とピーク時検証のいずれでも待ち時間の短縮効果が確認されており、収容台数が多い施設ほど、その効果を発揮しやすい点も特長です。
中間待機システムとAI活用については、こちらの資料もご覧ください。

まとめ|機械式駐車場の待ち時間は「計画」で決まる

機械式駐車場の待ち時間は、設備の構造だけで決まるものではなく、設計段階での方式選定や運用を見据えた計画によって大きく左右されます。
施設の用途や利用状況を踏まえ、ピーク時の利用や動線を想定した駐車計画を行うことが重要です。また、中間待機システムやAIを活用した機能を採用することで、入出庫の効率化や待ち時間の短縮も期待できます。
企画・設計の段階から時間的な制約を考慮し、利用者にとって使いやすい機械式駐車場を計画しましょう。

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